脇汗や手の汗が気になる人にはボトックス注射を
汗は誰でもかくものですが、手のひらや足の裏、脇の下など特定の場所に常時大量の汗をかく人は、多汗症の可能性があります。多汗症は特に原因がない「原発性」と、結核や甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫など病気が原因のもの、薬剤の副作用が原因のものなどがあります。日本での原発性多汗症は、全人口の5~6%といわれていますが、近年は増加傾向です。
多汗症は命に別状がない病気ではありますが、臭いや見た目などが気になる人も多いことでしょう。特に、脇の下や手のひらに多量の汗をかき続ける場合、服に染みができたり手に触れるものが濡れたりして日常生活に影響が出ることもあります。多汗症には複数の治療法がありますが、脇汗や手の汗をできるだけ早く止めたい場合、ボトックス注射がおすすめです。
ボトックス注射とは、ボツリヌス毒素から抽出した「ボトックス」という成分を注射する施術です。ボツリヌス毒素はその名のとおり毒性が高い野のですが、ボトックスは毒性を抜いているので安全につかうことができます。ボトックスは汗を出す信号をブロックする働きがあり、多汗症で汗を多量にかく場所に注射をすると発汗を押えることができるのです。
日本では、2012年より原発性腋窩多汗症(脇に多量に汗をかくタイプの多汗症)の治療としてボトックス注射を行う場合、健康保険が適用になりました。ボトックス注射の効果は4~9か月持続するので、年に1~2回注射すれば、汗で悩むことはほぼなくなるでしょう。両脇にボトックス注射をした場合、保険適用で2,3000円程度です。なお、手の汗を止めるためにボトックス注射を行う場合は、健康保険が適用になりません。自費診療の費用は病院によって違いますが、2,5000円前後が相場です。
ボトックス注射による治療は5~7分ほどで終わります。注射による痛みを和らげるために極弱い麻酔を使うことがありますが、日常生活に死傷はありません。仕事帰りなどにも受けることができます。